大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和29年(ネ)603号 判決

被控訴人は本件のデンプン売買は不特定物の売買であるが、控訴人は本件デンプン発送により給付に必要な行為を完了したのであるから、そのときに本件デンプンがみぎ売買の目的として特定して、同時に買主の所有となり、控訴人は所有権を失うに至つた旨主張する。

証拠を考えあわせると、控訴人と訴外鈴木化学工業株式会社東部出張所佐藤剛との間の控訴人主張の売買、すなわち控訴人がその履行のために本件運送のことにおよんだところの売買の目的物は不特定の並デンプン一等品三十トンであつて、単価は貫当り駅レール渡し二百五十二円と約定されたものであり、売主である控訴人はみぎ約旨にかなうデンプンを運送業者にわたして発送するだけではなく、約定の駅まで送りとどける義務を負つていたとみとめられる。したがつて、控訴人の本件デンプンの発送は民法第四〇一条第二項に債務者ガ物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為ヲ完了シたということにはならないと解するのが相当である。

(藤江 谷口 満田)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!